袂分かつ刻ギルドホールに一人のアーチャーが入ってきた。木の香りが漂うホールを彼女はゆっくりと歩く。適当な所に座り、天上を見上げる。 ――どうして、こんな事になってしまったのだろう… その思いと同時に、仲間達と戦ってきた数々の戦場が思い浮かぶ。 『援護頼むよ。狙い外さないでね? 『あいつに狙い合わせて!』 『あぁもう…。前に出すぎないようにって言ってるじゃないですか…』 『最後まで気ぃ抜くな!油断が命取りになるぞ!』 ぽたり、ぽたり…と何かが流れ落ちる音。アーチャーはいつの間にか目を閉じ、涙を流していた。 「…あれ…。私、いつの間に泣いて…」 拭おうとするが、涙は止まる気配を見せない。 みんなはもう戻って来ない。 あの日々には…もう戻れない。 ひとしきり泣いた後、アーチャーはそっと胸元にある紋章に手を伸ばす。ずっと着けてきた紋章は、いくつもの細かい傷跡が残っていた。 紋章を掴む手が微かに震える。 「…っ」 パチンッ 軽い音を立てて紋章は胸元から外れる。そして彼女は立ち上がり、近くのテーブルの上へ紋章を置いた。再び泣き出しそうになるのを堪え、紋章から手を離す。 ギルドホールを見渡し、アーチャーは踵を返した。 去る直前、名残惜しむように振り返る。 「…さようなら」 誰もいないホールにその言葉は虚しく響き、彼女は去っていった…。 ※後書き※ 今回はちょっと短め…かな? シリアスというか悲しめな感じで。 すっごい慣れ親しんだギルド脱退する時ってすごい悲しいなぁ…とか思いつつ。。 色んな思い出があるギルドを離れるのはやっぱ辛いと思うのですよ。゜゜(´□`。)°゜。 |